30秒でわかる
RNAポリメラーゼは、RNAをつくるために働く酵素です。
麻疹ウイルスが持っているのは、RNAを鋳型にしてRNAをつくる「RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)」です。
麻疹ウイルスでは、主にLタンパク質がRNAを合成する酵素として働き、Pタンパク質がその働きを助けます。
この仕組みによって、ウイルスは自分のRNAからmRNAをつくる「転写」と、ゲノムRNAを増やす「複製」を行います。
3分でわかる
「ポリメラーゼ」とは、ヌクレオチドを順番につなぎ、DNAやRNAのような長い鎖をつくる酵素の総称です。
何を鋳型にして、何をつくるのかによって、いくつかの種類があります。
麻疹ウイルスで重要なのが、**RNA依存性RNAポリメラーゼ(RNA-dependent RNA polymerase:RdRp)**です。
名前のとおり、
RNAを鋳型にして → 新しいRNAをつくる
酵素です。
麻疹ウイルスのゲノムは、1本鎖のマイナス鎖RNAです。
そのままでは、細胞のリボソームがタンパク質をつくるためのmRNAとして利用できません。
そこで、細胞へ侵入した麻疹ウイルスは、自分で持ち込んだRNAポリメラーゼを使います。
RNAポリメラーゼはウイルスのゲノムRNAを読み取り、まずウイルスタンパク質をつくるためのmRNAを合成します。
これが転写です。
つくられたmRNAは細胞のリボソームに読み取られ、ウイルスを構成するタンパク質の合成に使われます。
一方、ウイルスの数を増やすためには、新しいウイルス粒子に入れるゲノムRNAそのものも増やさなければなりません。
このときRNAポリメラーゼは、ゲノムRNA全体に対応するプラス鎖のRNA(アンチゲノムRNA)をつくり、それを鋳型として新しいマイナス鎖のゲノムRNAを合成します。
これが複製です。
つまり、麻疹ウイルスのRNAポリメラーゼには、大きく分けて、
① mRNAをつくる「転写」
② ゲノムRNAを増やす「複製」
という2つの重要な仕事があります。
麻疹ウイルスでは、このRNA合成の中心となるのが**Lタンパク質(Large protein)**です。
ただし、Lタンパク質だけで働いているわけではありません。
**Pタンパク質(Phosphoprotein)**がLタンパク質を支え、RNAを包んでいるNタンパク質との間をつなぐことで、RNAポリメラーゼ複合体がRNAを読み進められるようになります。
そのため麻疹ウイルスのRNAポリメラーゼは、単純な「コピー機」というより、
Lタンパク質を中心に、Pタンパク質などが協力してRNAを読み取る分子機械
と考えるとわかりやすいでしょう。
図でわかる
ここにSVG画像、イラスト、またはアニメーションを配置します。
このサイトでは
このサイトで「RNAポリメラーゼ」と書く場合、主に麻疹ウイルスの**RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)**を指します。
麻疹ウイルスは、自分のRNAを細胞内へ送り込むだけでは増えることができません。
ゲノムRNAからmRNAをつくり、さらに新しいゲノムRNAをつくる必要があります。
その中心で働くのがRNAポリメラーゼです。
このサイトでは、麻疹ウイルスが細胞へ侵入した後、「転写」「翻訳」「複製」へ進んでいく仕組みを理解するうえで重要な分子として登場します。
研究とのつながり
RNAポリメラーゼは、麻疹ウイルスが細胞内で増殖するために不可欠な仕組みです。
麻疹ウイルスのRNA依存性RNAポリメラーゼは、Lタンパク質とPタンパク質からなる複合体として働き、Nタンパク質に包まれたウイルスRNAを鋳型として転写と複製を行います。
そのため、ウイルスが細胞内でどの程度RNAをつくるのか、どのように遺伝子を発現するのかを理解するうえで、RNAポリメラーゼの働きを理解することは重要です。
腫瘍溶解性麻疹ウイルスを研究する場合にも、ウイルスががん細胞へ侵入することだけでなく、その後に細胞内でウイルスRNAを転写・複製し、新しいウイルスをつくれるかどうかが重要になります。